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新ルール下の日本もイギリス型超早期就活に向かうか

前回のコラムでは、インターンシップの本格的な導入によって超早期から就活準備に追われるようになったイギリスの大学生の就活実態を見てみました。今回はインターンシップが急速に普及する日本でも同様の状況が生じるか考えてみましょう。

先ず、インターンシップの実施時期ですが、日本では2018年現在「3年生の夏休み」が主流となっており、イギリスにおけるインターンシップの実施時期は「2年生の夏休み」です。前回もご紹介したようにイギリス(イングランド)の大学の履修期間は3年間ですので、イギリスの夏休みが学年の変わり目であるという点は日本と異なるものの、選考本番を迎える前年の夏休みという意味では時期的には同じような位置づけだと考えてよいでしょう。

次に、イギリスではインターンシップを受けるためには選考を通過する必要があり、これが就活準備を早期に開始する大きな要因ともなっています。従って日本でも同様の状況が起きるか否かは、日本のインターンシップの主流が選考を伴う形になるかどうかという点がポイントになりそうです。

この点については、現時点でも1週間程度以上の長期インターンシップを中心に選考は実施されていますが、超短期の「1DAYインターンシップ」などは実質的には企業説明会と同様のものだと考えられますので、企業説明会と同様に学校名などによるスクリーニングが行われる可能性は残るにせよ、イギリスのような本格的な選考を伴う形になるとは考えにくいと言えます。

そう考えると「新就活ルール」の下で、日本の就活がイギリスのように超早期化するか否かは、1週間程度以上の長期インターンシップが主流になるかどうかにかかってくる可能性が高そうです。

長期インターンシップの必要性と負担


短期が主流になるか、それとも長期か。この点を考える際にひとつのポイントになるのが、企業にとっての「長期インターンシップの必要性」と「負担の大きさ」です。アメリカでは企業が人材採用で職務経験を重視するため、新卒者に関してはそれに代わるものとしての必要性から長期インターンシップが普及しました。イギリスではリーマンショック以降「エンプロイアビリティ」が新卒採用の主要基準として重視され、インターンシップは「学生がエンプロイアビリティを獲得・証明する就業経験」であると捉えられています。

このようにアメリカやイギリスでは、長期インターンシップが「新卒者採用で欠くことのできない評価要素」として必要に迫られて実施されているため、インターンシップ実施のための様々な負担はあるものの、不可欠の採用活動として定着してきたという経緯があります。一方、日本の新卒採用は入社後の人材育成を前提としてポテンシャル評価中心で行われており、インターンシップはあくまでも「企業理解を深める機会」や「早期に優秀な人材を囲い込む手段」として活用されており、米英のように新卒採用における不可欠な選考プロセスとは言えません。

一方、アメリカやイギリスよりも遥かに短い「1週間程度」のインターンシップであっても、3年生の夏休みに何度も実施することは、同時期に4年生の内定者に対する内定辞退防止策として内定者フォローにも力を注がなければならない日本の企業にとっては大きな負担です。

日本企業にとってのこうした「負担」と「必要性」から考えると、今後も内定辞退防止策に力を注ぎ続ける必要性が高い中小・中堅規模の企業の間では、インターンシップと内定者フォローが時期的に重なることによる負担の重さから長期インターンシップが主流になることは考えにくいと思われます。

一方、採用活動に投入できるマンパワーの面で中小・中堅規模の企業より明らかに余裕のある大企業にとっては、「優秀な人材」を採用するためであれば、1週間程度のインターンシップは実施できないほどの負担ではないでしょう。しかも、現在のような「売手市場傾向」が緩和したとしても、大企業間での優秀な学生の争奪戦は今後も続いていきます。従って大企業にとっては、優秀な学生確保の観点からは中長期インターンシップの必要性は高く、主流の採用活動として定着していく可能性は高いように思われます。

就活スケジュール2段階化の可能性


このように考えてくると、新ルール下の就活スケジュールは2段階化する可能性も考えられます。

ひとつは大企業中心に「選考付きの1週間程度のインターンシップ」が3年生の夏休みに実施され、そこに向けた学生の就活準備が2年生から開始されるという流れです。この就活はインターンシップからそのまま本番の選考にまで続く流れで、3年生の秋から冬にかけて選考のピークを迎える就活の第1波です。

もうひとつは、大企業相手の勝ち目のないインターンシップ競争には参加せず、現状と同じ3月の企業説明会から採用活動をスタートさせる中堅・中小規模の企業を中心とした流れで、現状と同様に4年生の6月に山場を迎える就活の第2波です。

もちろんこのような方向に新卒採用市場が動いていったとしても、就活の流れと活動する企業がきれいに分かれるわけではなく、大企業や中堅・中小企業がそれぞれの事情や思惑で入り乱れて展開されていくことになるでしょう。

ただ、これまでも中堅・中小企業は早めに内定を出しても、その後の大企業の選考結果で内定者を奪われてしまうことに頭を悩ませてきており、大企業と時期を分けて採用活動を実施する方がマンパワーの面からも、内定辞退防止策としても望ましいと考えている企業も少なくないはずです。そう考えると「就活の大きな流れ」が上記のように2段階で展開されるようになる可能性は決して小さくないのではないかと思われます。

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