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新卒採用トピックス

国内景気変化の兆しと今後の新卒採用への影響

「内定すでに1割超」「採用活動は1ヶ月前倒しで進む」など、2020年卒の採用広報が解禁となった3月1日の新卒採用に関する報道は、相変わらずの超売手市場を表す内容に溢れています。

しかしその一方で、3月7日には内閣府が景気動向を表す一致指数が3ヶ月連続の下降となったとして基調判断を「下方への局面変化を示している」と変更したことを発表しました(内閣府「景気動向指数 結果」)。政府は「緩やかに回復している」との国内景気判断については「認識に変わりはない」としていますが、12日に財務省が発表した法人企業景気予測調査によれば、大企業の1~3月の景況感は前回(10~12月)がプラス4.3だったのに対しマイナス1.7と3四半期ぶりにマイナスに転じています。

これは米中貿易摩擦の影響などによる中国経済の減速が日本の輸出や生産に波及し、企業心理が悪化していることを映していると言います。さらに米中貿易摩擦によるアメリカ経済への影響も時間の問題だという指摘もあり、新卒採用市場の賑わいとは裏腹に景気後退の影が見え隠れしてきました。

こうした影響は2020年卒の新卒採用市場にも既に現れてきており、新聞の片隅には3月の説明会キャンセルの動きも報道されています。ここまで空前の売手市場となってきた新卒採用ですが、果たして今後はどうなっていくのでしょうか。

景気動向と新卒採用市場


企業の新卒採用計画は、景気動向や業績予測の影響を受けるというのが新卒採用に携わる皆さんの「実感」でしょう。実際に業績が悪くなれば経費削減の一環として人件費の増加を抑えるために新規採用は抑制されます。

こうした観点からすれば、米中貿易摩擦の長期化やイギリスのEU離脱などによって世界経済の減速傾向がさらに鮮明になれば、国内景気の景況感も改善されず、企業心理の冷え込みは新卒採用の抑制を加速させる可能性が十分考えられます。

バブル崩壊後やリーマンショック後には深刻な「就職氷河期」に見舞われたのもまだ記憶に新しいところですが、一方で採用市場は景気動向だけで決まるのではないという指摘もあります。

日本総合研究所調査部主席研究員の藻谷浩介氏によれば、バブル崩壊後の1990年から95年にかけての時期は失業率が上昇し「就職氷河期」初期とも重なりますが、景気を示す指標の一部を構成する個人所得額や小売販売額は増えており、必ずしも景気動向が失業率や就職氷河期の主な原因では無いと言います(PRESIDENT 2011年5月16日号)。

藻谷氏によれば、この時期における就職氷河期の主要因はおよそ1000万人に上る「団塊ジュニア」が新規学卒者として生産年齢人口に加わったことであり、爆発的な就業人数の増加によるものだったと指摘します。

新卒採用は「潜在的売り手市場」に


これらの点を考えると新卒採用市場の需給関係は、短期的には景気動向や企業業績に応じて変化する一方で、長期的には新卒者の数に影響されると言うことができます。

2018年度を基にした18歳人口の推移予測を見ると、10年後には2018年度のおよそ9割にまで減少するという試算が示されています(学校基本調査に基づく「リクルート進学総研データ」)。

すなわち今後の新卒採用市場は、世界経済の減速傾向を受けて「売り手市場」から「買い手市場」に変る可能性がある一方で、長期的には18歳人口の減少により「売り手市場」になりやすい構造であると言えます。すなわち一時的に買い手市場になったとしても、景気動向が少しでも上向けばすぐに売り手市場に変る「潜在的な売り手市場」というのがこれからの新卒採用市場の基本的な特徴なのです。

景気減速懸念を受けて企業の新卒採用意欲が今後抑えられれば、学生の不安は増して就活準備開始の早期化傾向はいっそう強まり、大学1年生から業界研究や企業研究が始まることが定着していく可能性が高いと言えます。

つまり1年生から始まる超長期の採用活動という状況は、買い手市場になっても変わりません。このことは採用ニーズが低下したからといって1・2年生への広報活動を止めてしまうと、積極採用に切り替えようとしてもすぐには採用できないことを表します。

こうした状況を考えると「潜在的売り手市場」となるこれからの新卒採用では、景気動向にかかわらず大学1年生から4年生までに対する「多年次・多段階の採用活動」が常に必要となっていくことになります。

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