内定辞退防止のヒント
採用活動のチェックポイント
2020年卒採用の実態とこの時期にとるべき内定辞退防止策
新年度に入り、大手就職情報サービス企業から2020年卒の新卒採用活動の状況が発表されはじめました。そうした調査結果からは3月から内定(内々定を含む)出しが積極化している実態がわかります。
株式会社ディスコの調査では、4月1日時点での内定取得率は26.4%に上っており、3月の1ヶ月間で12.5 ポイント増加し、また前年の同時期を7.6 ポイント上回っています。また株式会社マイナビの調査でも内定取得率は全体で12.7%と前年同時期を3.2%上回っており、特に理系の男子学生の増加が5.6%と目立っています。
こうした状況からは、今年は特に大型連休となるGW前に大手も含む多くの企業で内定出しが大きく増加することも予想されます。
一方、この時期に内定を得ている就活生の今後の就活予定を見ると、マイナビ社の調査では81.3%が、ディスコ社の調査でも75.2%が「まだ就活を継続する」と答えています。さらにディスコ社の調査では就活を継続する内定取得済みの就活生の半数以上(53.2%)が「内定先の企業よりも規模の大きな企業を中心に就活を継続する」と答えており、この時期に本命の企業から内定を得ている就活生はまだ僅かであることが見てとれます。
ではこの時点で早期の内定を出している就活生に対してとるべき内定辞退防止策はどのようなものが考えられるでしょうか。
この時期に早期内定を出す場合、そこには「他社の内定出しが本格化する前に内定者を確保したい」という意図が窺えます。そうした場合にありがちなのが、他社の内定が出る前に入社承諾書を提出させてしまおうという対応です。しかしこの時期にこうした対応はお奨めできません。
内定者への対応で一番困るのが「ホンネが全く見えない」という場合です。迷っている内定者に入社承諾を迫れば、内定者は入社意思を決めていなくても入社承諾書を提出してしまいます。もし入社承諾書の提出を完全な自由意志に委ねれば、未提出の間は「まだ迷っている」ことがわかりますので迷いの理由を聞き出して対策を練ることもできますが、無理に承諾書を出させてしまうと内定者の気持ちを判断する方法が無くなってしまい、どう対応すべきかの方針も立てられなくなってしまいます。この時期の内定者に入社承諾書の提出を迫るのは、企業自らが内定者のホンネを見えにくくし、その後の効果的な対応を難しくしてしまいます。
一方、入社承諾書の提出を完全に自由意志に委ねた場合でも、不安から内定者への入社説得や自社アピールを過度に実施してしまうこともありがちですが、これもこの時期の内定者に対しては避けるべき対応です。
入社を迷っている内定者に対して、先輩社員との面談や職場見学などを通じて自社に対する理解を深めること自体は好ましい対応です。しかし、それが行き過ぎて併願している他社の選考の妨げになるようだと、むしろ自社に対する「好感度」を下げてしまう結果にもなりやすく、場合によっては他社への応募を意図的に妨害しているのではないかと誤解されて不信感を生じてしまうおそれすらあります。
この時期の内定者に対しては、本人が「知りたい」と望む情報の提供などあくまでも「内定者のニーズ」を確認して、それに丁寧に対応することで自社に対する「好感度」を高めることを重視するのが望ましいと言えます。
この時期に避けるべきもう一つの対応が「入社承諾者と未承諾者を同様に扱う」というものです。たとえば入社承諾者に対して、社員と同じように採用活動を手伝わせることで会社の一員のような意識を醸成する「早期身内化」という内定辞退防止策があります。あるいは内定者の親御さんに内定のお知らせと共に会社の説明資料などを送って安心してもらうといった対応をする場合もあります。
これらは入社意思を固めた内定者に対しては「就活終了意識」を高めたり、親御さんの反対が思わぬ内定辞退要因になることを防ぐといった効果が期待できます。ところが入社意思がまだ固まっていない内定者にも同じように対応してしまうと、かえって内定者に自分の意思を無視されたような不快感や強引な印象を与えてしまい、やはり会社に対する不信感につながってしまうリスクがあります。
同じ内定者でも入社意思を固めているか、まだ迷っているかによってとるべき対応には大きな違いがありますので、それもまた早期内定者への対応では気をつけるべきポイントのひとつです。
いずれにしても他社に先駆けて早期に内定を出す場合は、急いで入社意思を固めさせようとするのは逆効果になりやすいということを理解し、内定者の自由意志を尊重しながら自社に対するニーズに丁寧に応え、「好感度」を高めることを意識して対応していくことが内定者の信頼感を高め、入社受諾の確率を高めることにつながると言えます。
✔ 他の「内定辞退者防止のヒント」を見る
株式会社ディスコの調査では、4月1日時点での内定取得率は26.4%に上っており、3月の1ヶ月間で12.5 ポイント増加し、また前年の同時期を7.6 ポイント上回っています。また株式会社マイナビの調査でも内定取得率は全体で12.7%と前年同時期を3.2%上回っており、特に理系の男子学生の増加が5.6%と目立っています。
こうした状況からは、今年は特に大型連休となるGW前に大手も含む多くの企業で内定出しが大きく増加することも予想されます。
一方、この時期に内定を得ている就活生の今後の就活予定を見ると、マイナビ社の調査では81.3%が、ディスコ社の調査でも75.2%が「まだ就活を継続する」と答えています。さらにディスコ社の調査では就活を継続する内定取得済みの就活生の半数以上(53.2%)が「内定先の企業よりも規模の大きな企業を中心に就活を継続する」と答えており、この時期に本命の企業から内定を得ている就活生はまだ僅かであることが見てとれます。
この時期の内定者に「やってはいけない」3つの対応
ではこの時点で早期の内定を出している就活生に対してとるべき内定辞退防止策はどのようなものが考えられるでしょうか。
この時期に早期内定を出す場合、そこには「他社の内定出しが本格化する前に内定者を確保したい」という意図が窺えます。そうした場合にありがちなのが、他社の内定が出る前に入社承諾書を提出させてしまおうという対応です。しかしこの時期にこうした対応はお奨めできません。
内定者への対応で一番困るのが「ホンネが全く見えない」という場合です。迷っている内定者に入社承諾を迫れば、内定者は入社意思を決めていなくても入社承諾書を提出してしまいます。もし入社承諾書の提出を完全な自由意志に委ねれば、未提出の間は「まだ迷っている」ことがわかりますので迷いの理由を聞き出して対策を練ることもできますが、無理に承諾書を出させてしまうと内定者の気持ちを判断する方法が無くなってしまい、どう対応すべきかの方針も立てられなくなってしまいます。この時期の内定者に入社承諾書の提出を迫るのは、企業自らが内定者のホンネを見えにくくし、その後の効果的な対応を難しくしてしまいます。
一方、入社承諾書の提出を完全に自由意志に委ねた場合でも、不安から内定者への入社説得や自社アピールを過度に実施してしまうこともありがちですが、これもこの時期の内定者に対しては避けるべき対応です。
入社を迷っている内定者に対して、先輩社員との面談や職場見学などを通じて自社に対する理解を深めること自体は好ましい対応です。しかし、それが行き過ぎて併願している他社の選考の妨げになるようだと、むしろ自社に対する「好感度」を下げてしまう結果にもなりやすく、場合によっては他社への応募を意図的に妨害しているのではないかと誤解されて不信感を生じてしまうおそれすらあります。
この時期の内定者に対しては、本人が「知りたい」と望む情報の提供などあくまでも「内定者のニーズ」を確認して、それに丁寧に対応することで自社に対する「好感度」を高めることを重視するのが望ましいと言えます。
この時期に避けるべきもう一つの対応が「入社承諾者と未承諾者を同様に扱う」というものです。たとえば入社承諾者に対して、社員と同じように採用活動を手伝わせることで会社の一員のような意識を醸成する「早期身内化」という内定辞退防止策があります。あるいは内定者の親御さんに内定のお知らせと共に会社の説明資料などを送って安心してもらうといった対応をする場合もあります。
これらは入社意思を固めた内定者に対しては「就活終了意識」を高めたり、親御さんの反対が思わぬ内定辞退要因になることを防ぐといった効果が期待できます。ところが入社意思がまだ固まっていない内定者にも同じように対応してしまうと、かえって内定者に自分の意思を無視されたような不快感や強引な印象を与えてしまい、やはり会社に対する不信感につながってしまうリスクがあります。
同じ内定者でも入社意思を固めているか、まだ迷っているかによってとるべき対応には大きな違いがありますので、それもまた早期内定者への対応では気をつけるべきポイントのひとつです。
いずれにしても他社に先駆けて早期に内定を出す場合は、急いで入社意思を固めさせようとするのは逆効果になりやすいということを理解し、内定者の自由意志を尊重しながら自社に対するニーズに丁寧に応え、「好感度」を高めることを意識して対応していくことが内定者の信頼感を高め、入社受諾の確率を高めることにつながると言えます。
✔ 他の「内定辞退者防止のヒント」を見る