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就職人気企業ランキングから考える内定辞退防止策

今年もまた大手就職情報サービス企業による「就職企業人気ランキング」が発表されました。こうしたランキングでは毎年かなり順位の変動が見られますが、2020卒ランキングで上位100社に入った企業を見ても、前年度から20位以上ランクが変動した企業だけでも文系/理系それぞれ3割を超えています(文系:32%、理系:36%)。

一方、人気ランキングが大きく変動したこれらの企業も「企業としての実態」は1年で大きく変わるものではないことを考えると、学生の就職先企業選びは企業の「イメージ」によって大きく左右されていることが窺えます。

就活において企業選びは最重要事項のひとつですが、外部から企業の実態を把握するのには限界もあり、ましてや企業で正社員として勤務したことの無い学生にとって企業選びの判断が「イメージ」に頼りがちになるのはやむを得ないとも言えます。

こうしたことは、内定辞退の防止を考える上でも「企業イメージ」が大きな影響を持つことを示していると言えます。では内定辞退防止の観点から見た場合、就活生にとっての企業イメージに大きな影響を与えるのは採用活動の中でどういった場面でしょうか。

第一印象形成プロセス


就活生にとって、企業の「第一印象」は企業イメージ形成に大きな影響を与えます。そうした企業の第一印象を与えるのは、インターンシップや企業説明会、OB・OG訪問といった、学生が最初に企業と直接的に接する機会です。

入社先を決めた学生に「入社先企業に入りたいと強く感じた時期」を聞いた調査で、インターンシップと企業説明会がほぼ同じ水準で2位、3位だったことからも、こうした機会を通じて学生が感じた「第一印象」が応募先企業の絞り込みや志望順位に大きく影響していることが窺えます。

なお就活生への調査結果からは、こうした機会で企業イメージに影響を与えるのがインターンシップや企業説明会の内容だけでなく、そこで会った先輩社員の印象の影響も大きいこともわかります。

入社意思形成プロセス


2020年卒の場合、就職企業人気ランキング調査時期までに1次面接を受けた経験のある就活生は3割台にとどまっていることを考えると、人気ランキングに反映されるのは上記の「第1印象」が中心になっているものと考えられます。

ただ、実際に入社先企業を決める際に第一印象以上に大きな影響を持つのが「面接期間中」の印象です。これは上記の調査で「入社先企業に入りたいと強く感じた時期」として最も多かったのが「面接期間中」であり、インターンシップや企業説明会を大きく上回っていることからも面接期間中はまさに最も重要な「企業イメージ形成時期」だと言えます。

この時期に「ファーストコンタクト時」の良い印象が強まることもあれば、逆に失望感に変ることもあり、それに最も大きな影響を与えるのが「面接官」です。それは2019年卒就活生に対するマイナビ社の調査で、面接官とのやりとりの中で「ぜひこの企業に入社したいと思った学生」が67%に上っていることからもわかります。

従ってこの時期に企業イメージを高めるためには面接官の意識が最も重要になります(詳しくは本コラム「新就活ルール時代の“面接意識改革”」ご参照)。またこの時期に学生にとって最も接触機会が多くなる採用担当者の皆さんの印象も企業イメージに影響していることも調査結果からは読み取れます。

入社意思維持プロセス


時期的に見て「人気企業ランキング」への影響はありませんが、内定辞退の防止という観点から最後に見逃せないのが「内定者フォロー」段階での企業イメージです。この時期に企業イメージを大きく損なうと、いったん入社意思を決断したにもかかわらず内定辞退に至るおそれがあります。

これは、いわゆる「内定ブルー」に陥った内定者の不安を解消せず、不信感にまで高めてしまった場合です。採用活動の早期化に伴い内定後のフォロー期間が長くなってきている上に、3年生に対する採用活動が本格化する時期と内定者フォローの時期が重なるため、これまで以上にマンパワーも手薄になりがちで、こうしたリスクが今後は高まることも考えられます。

ただ、内定者フォローでは「不信感」にまで高まるほど企業イメージを悪くしないことが重要ですので、入社意思を決めた内定者に対しては定期的なコミュニケーションを欠かさず、少しでも気になることがあれば素早く対応するといったことをきちんとやっていけば、そこまで企業イメージを悪化させる心配はあまり無いと考えられます。

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